大腸がんと間違えやすい「痔」

大腸がんは、日本全国で1年間に約158,000人が診断されています。がんの中で、大腸がんの死亡数は第2位で、女性では第1位になっています(出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計 2020年」)。

こういったデータからも男女ともに注意したい大腸がんですが、大腸がんは「痔」ともっとも間違えやすい病気と言われています。大腸がん早期発見のため、下血や血便があったら精密検査を受けてほしいと思いますし、痔の症状がある方は、しっかりと治療しておくことが大切と考えております。

大腸がんの症状について

大腸がんは、早期の段階では自覚症状はほとんどありません。また、便潜血検査(いわゆる検便)では診断することができかねます。早期に大腸がんを発見するには、大腸内視鏡検査がもっとも有効的です。

万一、何か自覚症状がある場合は、がんがある程度進行している可能性が考えられます。大腸がんが進行すると、粘膜の表面に潰瘍ができて出血し、便が大腸を通るときにこすられることによって、血液が付着します。それが、下血や血便、粘血便の症状として現れます。また、腸管が狭くなっているため、便の通りが悪くなることによって、便秘、下痢、残便感、便が細くなる、腹痛、貧血、腹部のしこりなどの症状が現れたりします。

痔の症状について

痔のように良性の肛門疾患であっても、下血、血便の症状が現れます。痔の種類にもよって多少症状が異なりますが、肛門の痛み、排便時の出血、便に血が混じる等の症状が一般的な痔の症状のため、痔だと思っていると、大腸がんを見過ごしてしまう場合があるのです。

当院の他のページでも度々お伝えしておりますが、血便や下血を、痔だと自己判断することはとても危険です。血便や下血がある方は、早めに精密検査・大腸内視鏡検査を受けていただくことをおすすめします。

また、検査の結果、痔と診断された方については、大腸がんやその他の病気の早期発見のためにも、痔の治療を行い痔の症状を改善しておくことが大事だと考えております。

早期受診の重要性

大腸がんは、早期に発見ができれば、内視鏡的治療や手術(外科治療)で切除することができます。つまり、早期の発見によって、治癒が可能な病気ということです。進行したがんでも、進行度合いが軽い場合はや、遠隔転移していても、手術によって切除ができれば、治るこも少なくありません。

内視鏡的治療が適応の大腸がんは、日帰りの治療が可能となっています。反対に、検査を受けずにいることで手遅れになり、大腸がんで亡くなるといったリスクが増すこともわかってきています。早期で発見ができれば、内視鏡的治療が適応できて、治療後の経過も良好なことが多いです。ぜひ前向きな気持ちで検査を受けていただきたいと思っています。

また、痔の治療であれば、お薬やジオン注射で治ることがほとんどです。不安や、症状によるストレスなどが無い、快適な毎日をお過ごしいただくために定期的な検査をご利用ください。それから症状がある方は、どうぞお早めにご相談ください。