早期胃がんは多くが内視鏡治療です!

胃がんと診断されたら、開腹手術と考えている方もまだまだ多いようですが、早期胃がんは多くが内視鏡治療となっています。そんな中、胃がんの早期発見・治療を目的に世田谷区では、40歳以上の区民を対象に胃がん検診を実施していますが、皆様ご存じでしょうか。

50歳以上の方々には従来の胃がん(エックス線)検診に加えて、胃がん(内視鏡)検診の選択肢が追加されています。内視鏡治療ができる状態で胃がんを発見するためにも、胃がん検診を受けましょう。

胃がん治療の傾向について

胃がんは、いまも日本人に最も多いがんです。胃がんによる死亡数は、ひと昔前に比べると減少傾向と言われていますが、公益財団法人 がん研究振興財団発行「がんの統計(2023年版)」の令和3年がん部位別死亡者数においては、男性で第3位、女性で第5位となっており、まだまだ注意が必要といれるでしょう。

しかし、胃がんの治療は進歩しており、バリウムを使ったエックス線検査と内視鏡検査(胃カメラ)を行えば、ごく早期のがんが発見でき治療ができます。また、早期胃がんなら、多くが内視鏡治療を行っています。開腹手術でも、なるべく胃を温存するのが最近の傾向です。

治療ではがんを切り取ることが基本になりますが、粘膜内の小さながんでは、検査と同様に口から入れる内視鏡を使って、がんを焼き切る内視鏡的治療を行うケースが多くなりました。最近では、いろいろなタイプのがんがおなかを切らずに治療できるようになっています。

内視鏡で治療できない場合は、開腹手術になりますが、以前より胃の切除範囲を狭め、可能な限り機能の温存をはかる手術が増えています。胃の入口や出口、胃の働きを司る神経を残すことができれば、後遺症も少なくなります。胃を大きく切除した場合は、再建手術も行われたりします。

検査をなかなか受けない方の中には「がんと診断されたらどうしよう」と、先のことを考えて不安になり、検査を受けることが遅れる方がいます。しかし、検査を受けて何もなければ安心できますし、もし病変が見つかっても「早期胃がん」なら内視鏡治療を行いその後、不安から解消されることでしょう。もし検査後のことで不安になったり迷われている方がいましたら、1日も早く検査を受けていただきたいと思っています。

胃がんの進行と治療について

胃がんは胃の内側の粘膜から発生し、進行とともに胃壁の深部へと広がっていきます。粘膜下層までにとどまっているものが、一般に「早期がん」として扱われます。

図:胃がんの病期(ステージ)

胃がんの病期(ステージ)

内視鏡治療

隆起型の胃がんでは、内視鏡から出した金属の輪となるワイヤーを引っかけ、高周波電流を流して切り取ります。早期胃がんのうち、内視鏡切除の対象となるものは、病変を周りの粘膜と一緒にひとかたまりに一括切除が可能で、リンパ節に転移している危険性がないものとなります。

外科手術

標準的には、開腹して胃の3分の2以上と近くのリンパ節を切除することとなります(定型手術)。比較的早期の場合には、切除範囲を狭めて、胃の出口や入口、神経などを温存する方法 (縮小手術) を行うこともできます。これにより後遺症も少なくなります。

世田谷区の胃がん検診

世田谷区では、40歳以上の区民を対象に胃がん検診を実施していますが、皆様ご存じでしょうか。また、50歳以上の方々には従来の胃がん(エックス線)検診に加えて、胃がん(内視鏡)検診の選択肢が追加されています。胃がんによる死亡者数はまだ少なくありませんが、早期発見・治療すれば高い治癒率が期待できます。早期発見のため、胃がん検診を受けることが重要です。

検査自体はバリウム検査も内視鏡検査も通常10分ほどで済みます。医療機関への準備や移動時間を含めても、1日あれば十分です。費用に関しては、世田谷区の助成対象者はエックス線検査で1,000円、内視鏡検査で1,500円の自己負担となります。健康な体で長く楽しい人生を送るために、定期的な胃がん検診をぜひご利用ください。