自律神経と排便の関わりについて

新型コロナウイルス感染症の流行の影響によって、オンライン授業やテレワーク、生活リズムが変化した人も多いことと思います。食生活・運動習慣・睡眠時間などの生活のリズムの変化から、自律神経が乱れ、排便習慣や便の状態へも影響が出てきます。

そこで、今回は自律神経と排便の関わりについて簡単にご説明いたします。今の時期は、忘年会、年末年始、新年会など、生活習慣が乱れやすい時期かと思います。スムーズな排便のため、自律神経を整える過ごし方を心がけてみてください。

排便の仕組み

私たちが毎日摂取する食べ物は、食道→胃→小腸→大腸の順で移動していき、最後、体に不要なものが肛門から便となって排泄されます。

食物を消化・吸収する消化管

食物を消化・吸収する消化管
  1. 食事を摂った後、その食べ物は、食道を通って胃まで運ばれます。
  2. 胃では、その食べ物を胃酸によって分解します。その後、胃で分解された食べ物は、小腸でさらに細かく分解され、栄養を吸収します。
  3. 大腸では、栄養を吸収した残りの部分から水分を吸収して便を形成し、体外に排泄しています。大腸のS状結腸に留まっている便が、蠕動(ぜんどう)運動によって直腸へ移動して、排便が起こることとなります。

排便を促す蠕動運動とは

蠕動運動は、腸管の口側が収縮し、肛門側が弛緩して、便を先へ押し出していく動きです。この排便を促す蠕動運動は、自律神経の働きとも大きく関わりがあります。

自律神経には、交感神経と副交感神経の2つで構成させています。身体を活発に動かすときに働く神経が「交感神経」で、身体を休めるときに働く神経が「副交感神経」です。蠕動運動は、「交感神経」が優位な時には抑制され、「副交感神経」が優位になると活発になります。

自律神経と腸の関係

自律神経と腸の関係

ストレスや過労、生活習慣の乱れなどによって自律神経のバランスが乱れていると、腸の蠕動運動もスムーズに行えず、便秘や下痢といった不調を起こしやすくなります。反対に、蠕動運動がスムーズにできると、より良い排便ができるということになります。

規則正しい生活で排便もスムーズに!

腸の働きを良くしてスムーズな排便習慣を身に付けるためには、食事のメニューなどに気を付けることと並行して、自律神経を整えること、規則正しい生活を送ることがとても大切です。忘年会、年末年始、新年会シーズンなど、生活習慣が乱れやすい時期かと思います。ぜひ次のようなことを意識して生活してみてください。

より良い睡眠のため、軽い運動を!

より良い睡眠をとることは、副交感神経が優位な状態をつくり、腸の活動が活発となります。

激しい運動は、逆に睡眠を妨げますので、負担が少なく長続きするような有酸素運動(早足の散歩や軽いランニングなど)が良いでしょう。効果的なのは夕方から夜(就寝の3時間くらい前)の運動だと言われています(参考:e-ヘルスネット 快眠と生活習慣)。

朝食を食べること、心がけましょう!

朝、胃に食べ物が入ると、腸の蠕動運動を促してくれます。少しの量でも良いので、朝食を食べることをおすすめします。また、起きたらすぐに、お水を飲むことも効果的です。腸が刺激されて動きが活発になります。朝起きたばかりのタイミングは、まだ副交感神経が優位となっています。そのため、交感神経へと切り替わる前に腸を刺激すると、スムーズな排便につながりやすくなります。

排便の個人差について

排便の仕組みとしては、上記で説明した通りですが、腸の働きには、人の身体や性格、知能などと同様に個人差があります。例えば、どんな生活を送っていても規則的に排便できる人もいれば、良い生活を送らないと規則的な排便ができない方や、内服薬などの補助が必要な方もいらっしゃいます。

しかし、規則正しい生活を送ることで、それなりに良い排便習慣が保てますし、良い生活を続けることで、排便は徐々に良い状態へと整っていく方が多いものです。便秘やお腹が張っていることで、頭痛や肩こり、疲れやすさ、肌荒れなどの症状を経験した方も少なからずいらっしゃると思います。

「排便がどうも不調だ」という方は、まずは自分の排便を知って、今の生活をしっかりと見つめ、できることから見直してみてほしいと思います。また、排便について悩んでいる方、便秘や下痢で悩んでいらっしゃる方がいらっしゃいましたら、いつでもご相談にいらしてください。