冬に向けての感染症予防について

今冬のインフルエンザについては、新型コロナウイルス感染症との同時流行も懸念されており、日本感染症学会からは積極的なインフルエンザワクチンの接種も推奨されています。世田谷区でも、10月1日より高齢者インフルエンザ予防接種が開始されております。今回は、そのワクチン接種の大切さや注意点などお知らせしたいと思います。

今シーズン、インフルエンザの流行が懸念される理由

北半球の冬季のインフルエンザ流行の予測をするうえで、南半球の状況は参考になります。オーストラリア政府は定期的にインフルエンザの発症状況を報告しています※が、2020年および2021年は、日本と同様、インフルエンザ患者は極めて少数でした(※参考文献:Australian Government Department of Health. Australian influenza surveillance report No. 07, 2022.)。

しかしながら、2022年は4月後半から報告数が増加し、例年を超えるレベルの患者数となっており、医療の逼迫が問題となっています。今後、海外からの入国が緩和され人的交流が増加すれば、国内へウイルスも持ち込まれると考えられ、日本においても、2022-2023年の秋冬シーズンには、同様の流行が起こる可能性があると言われております。

また、過去2年間、国内でのインフルエンザ流行がなかったために、社会全体のインフルエンザに対する集団免疫が低下していることも考えられています。

インフルエンザ予防接種の大切さ

インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染して起こります。38℃以上の発熱や、頭痛や関節痛・筋肉痛などの全身症状が急に現れ、高齢者や種々の慢性疾患を持つ方は肺炎を伴うなど重症化することがあります。

インフルエンザを予防するには、流行する前のワクチン接種が有効とされています。ワクチン接種を受けた高齢者は、死亡の危険が5分の1に、入院の危険が約3分の1から2分の1まで減少することが期待されています。現行のワクチンの安全性はきわめて高いと評価されています。

その他、手洗いやアルコール製剤による手指の消毒や、感染を広げないためにマスク着用も有効とされていますので継続しましょう。

新型コロナウイルスワクチンとの接種間隔について

インフルエンザワクチンについては、新型コロナワクチンとの接種間隔の制限はありません。同時接種も可能とされています。

※インフルエンザワクチン以外のワクチンは、オミクロン株対応ワクチンと同時に接種できません。互いに、片方のワクチンを受けてから2週間以上あけて接種してください。

令和4年度の高齢者インフルエンザ予防接種

令和4年度は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行を想定し、対象となる高齢者のインフルエンザ予防接種は、自己負担額を免除し接種費用が無料となります。

対象の高齢者へは、行政から予診票が送付されます。接種予診票に必要事項をご記入の上、医療機関にお持ちください。当院は、世田谷区内の指定医療機関となります。当院での接種をご希望の方は、当院へ予診票をご持参ください。

■令和4年度の高齢者インフルエンザ予防接種について

  • 対象者
    満65歳以上の方、令和4年12月31日現在、満60歳以上65歳未満の方で、心臓、腎臓、呼吸器の機能または免疫機能に障害がある方のうち、1級相当の身体障害者手帳をお持ちの方
  • 自己負担額
    無料(1回のみ)令和4年度に限り全対象者が無料となります
  • 接種期間
    令和4年10月1日(土) ~ 令和5年1月31日(火)