コロナ禍の生活習慣と痔について

痔の症状は、性別や年齢、季節などに偏りなく発症するお悩みですが、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外出自粛生活が続く中、比較的若い年代からのご相談が増えたように思っております。

コロナ禍における、皆さまの行動や生活習慣の変化が、痔の発症や悪化と、どのように関係しているか、少し解説させていただきます。ご参考いただければ幸いです。

在宅ワークによる、長時間のデスクワーク

感染拡大に伴い、在宅ワークが続いていた方も多いことと思います。 在宅ワークとなれば、デスクワークが中心になることでしょう。このデスクワークですが、1日中座ってお仕事をされる方は、痔の中でも、特にいぼ痔になりやすくなります。

座った状態で長時間過ごすと、肛門付近の血の循環が悪くなります。また、座っているという状態は、上半身の負荷がお尻にかかることになりますので、肛門の内側がうっ血して、炎症を起こしやすくなります。

在宅ワークによる長時間デスクワーク、さらにご自宅でお仕事することによって、通勤時に歩くといった行為もなくなります。その結果、座っている時間が増え、おしりにかなりの負担をかけていると考えられます。

外出自粛による、食生活の乱れ

外出自粛による、不規則な生活、食生活の乱れ、ストレスからの暴飲暴食、運動不足等が、痔を悪化させる原因になっていると思われます。

食生活では、たとえば香辛料は、腸で吸収されにくいため肛門を直接刺激し、うっ血の原因になります。アルコールの過剰摂取は、下痢などになりやすくなります。食物繊維・水分の摂取不足は、便秘を引き起こす要因となります。

排便時のいきみ、便秘、下痢などは、すべて肛門に負担がかかりやすいです。外食でも、ご自宅でも、バランスが取れていない偏った食生活は、痔の原因となります。

外出自粛による、運動不足

運動不足は、座りっぱなしと同じで、肛門付近の血の循環が悪くなります。その他、運動不足によって腹筋が衰えると、便を押し出す力が弱くなるため便秘の原因になり、結果として肛門に負担をかけることになってしまいます。おしりにやさしい食生活、適宜な運動を心がけて、痔の改善に取り組んでもらえたらと思っています。

また、これから冬に向けては、寒さで「冷え」を感じて血流が悪くなる方が増えてきます。体が冷えると、肛門周辺の血流も悪くなって、いぼ痔の原因になると言われています。ご心配な方、気になる症状がある方は、どうぞ我慢せずに肛門科へご相談にいらしてください。