排便時に出血…痔?それとも腸の病気?

排便の際に血が付いているのを見つけると、不安を覚える方が多いのではないでしょうか。「痔だろう」と思い込んで様子を見る方もいれば、「腸の病気では」と心配して受診される方もいらっしゃいます。排便時の出血は、痔が原因であることが多い一方、腸の炎症やポリープなどが関係している場合もあり、見た目だけで判断することは難しい症状の一つです。

今回は、排便時の出血で考えられる主な原因や、受診の目安についてご紹介します。症状の背景にはさまざまな要因が隠れているため、「この程度なら大丈夫」と自己判断せず、気になることがあれば早めにご相談ください。

排便時の出血で多い“痔”の症状

痔は誰にでも起こりうる疾患で、日本では多くの方が悩まれている身近な症状の一つです。代表的なものには以下があります。

肛門の仕組みと痔

肛門の仕組みと痔

内痔核(いぼ痔)

排便時に鮮やかな赤い血が出ることが多いです。ティッシュに赤い血が付いたり、トイレの水が赤く染まって驚かれるケースがあります。痛みが少ないため気づきにくい点が特徴です。

外痔核(いぼ痔)

肛門の外側には痛みを感じる神経が多く通っているため、外痔核では痛みを伴うことが一般的です。急に腫れが大きくなるタイプでは、炎症や血栓(血のかたまり)ができて大きくはれ、激しく痛む場合もあります。

裂肛(切れ痔)

硬い便によって肛門が裂け、痛みと少量の出血を伴います。便秘気味の方に多くみられます。

痔ろう

肛門周囲の感染によってトンネル状の通り道ができる病気です。出血のほか、腫れや膿が出ることがあります。早めの治療が大切です。

痔の原因には、便秘や下痢が続くこと、過度なダイエット、排便時の強いいきみ、長時間同じ姿勢で座っていること、暴飲暴食など、日常生活と関係する要素が多く含まれます。女性では、妊娠中や出産後に症状があらわれやすいといわれています。

このように痔はいずれも生活習慣の影響を受けやすく、再発することもありますが、適切に対処することで改善が期待できる症状です。痛みや出血が続く場合は、原因を確認するためにも、早めに診察を受けることが大切です。

「痔ではなかった」というケースもあります

排便時の出血は、痔以外の病気が隠れていることもあります。

大腸ポリープ

大腸ポリープは大腸の粘膜にできる良性の病変です。小さなうちはほとんど症状はありませんが、大きくなると、排便時の出血、便に粘液が付着する、腹痛、下痢、お腹が張る、便が出にくいといった症状が現れたりします。

腸炎(感染性腸炎・潰瘍性大腸炎など)

腸に炎症があると、血便や粘液が出ることがあります。腹痛や下痢を伴う場合は慎重な観察が必要です。

大腸がん

初期は症状が目立ちませんが、進行すると血便、便の形の変化、腹部の不快感などが見られる場合があります。

こうした疾患は、早期に気づくことで治療の選択肢が広がります。そのため、「痔だと思うからそのまま様子を見る」という判断はは避けたほうが良い症状の一つです。

どんなときに受診すべき?

次のような場合は、一度肛門科へご相談いただくことをおすすめします。

  • 出血が繰り返し続いている
  • 便に血が混じる、粘液のようなものが付く
  • 腹痛・下痢・便秘が続く、または繰り返す
  • 肛門に痛みや腫れを感じる
  • 家族に大腸ポリープや大腸がんの既往がある
  • 40歳以上で初めて出血があった

症状の裏に別の原因が隠れている可能性もあるため、気になる場合は早めの受診が安心につながります。

当院で行っている診察・検査

世田谷区の鶴町クリニックでは、肛門科の診察に加えて、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)による精密な検査にも対応しています。

  • 肛門の状態確認
  • 痔の評価
  • 便通のご相談
  • 大腸カメラ検査
  • ポリープ切除(検査結果による)
  • 生活習慣・排便習慣のアドバイス

症状の原因を丁寧に確認し、患者様の状態に応じた方法をご提案します。

不安な症状は一度ご相談ください

排便時の出血に関しては、周囲に相談しにくいこともあり「しばらく様子を見てから受診する」という方も少なくありません。しかし、診察を受けた方からは「もっと早く相談すればよかった」とお話しいただくことも多く、不安を抱えたまま過ごすより、早めの確認が安心につながります。

痔はもちろん、腸の病気についても、年齢にかかわらず注意が必要です。比較的若い年代の方でも「特に心配はないと思っていたが、検査で平坦なポリープが見つかった」というケースがあります。早期であれば、内視鏡治療で切除できる場合もあります。

気になる症状があるときは、一度ご相談ください。世田谷区の肛門科『鶴町クリニック』では、プライバシーに配慮した環境で診察を行い、必要に応じて内視鏡検査のご案内も可能です。ネット予約にも対応しており、予約なしでの受診も可能です。ご都合のよいタイミングでお気軽にお越しください。