痔の予防法

痔は、基本的に慢性疾患です。ですから、痔の症状が軽い時は、来院をされず放置される方も多くいらっしゃるようです。一度ご来院された方の中でも、再発してご相談にいらっしゃる方もいます。

そこで本ページでは、痔の予防法や、痔の再発・悪化を予防するため、ご自宅で出来る予防法や市販の薬についてご説明させていただきます。ご参考いただき痔の予防に努めてほしいと思います。

痔の市販の薬について

痔の薬には、肛門内部や外側の患部に直接使用する「外用薬」と、飲む「内服薬」があります。一般には、外用薬が主流です。

外用薬の効果

痔核(いぼ痔)・裂肛(きれ痔)の痛みやかゆみ、出血、炎症などを和らげてくれます。配合成分により、殺菌効果があるものもございます。

外用薬の種類

  • 注入軟膏 : 肛門の内と外の両方の痔に使います。
  • 坐剤 : 主に肛門内部の痔に使います。先端を肛門につけて挿入します。
  • 軟膏 : 主に肛門の外側や、肛門の付近の痔に使うクリームです。

内服薬の効果

炎症をやわらげたり、血行を改善したりしてくれます。外用薬に比べ、効果はゆっくりあらわれます。

ドラックストアで購入の際は、薬剤師さんと相談すると良いでしょう。肛門科を受診の際は、患者様の症状とご希望に沿って薬を処方いたします。診療所では、診療室でお話ができますから、人目を気にする必要は一切ありません。ご安心下さい。

病院・クリニックでの痔の治療について

痔の治療は、病院へ行くと手術・切らなければ治らない。などと思われている方もいるようです。いぼ痔の場合、実際に手術をする患者様は全体の1~2割程度です。多くの方は、薬や生活習慣の改善で症状が軽くなります。

痔の再発予防が大切です

ジオン注射・手術をしても再発する可能性は、ゼロではありません。完治後に、完治前と同じ生活習慣を続けると、悪化したり、再発したりするということに繋がります。辛い痛みや治療を避けるためには、生活習慣改善の努力が大切なのです。そして、我慢せず少しでも早い来院がポイントです。

もっと早く来院下さっていれば、簡単な処置で治ったのにと思うことは本当によくあります。ご来院の際は、問診・検査それから生活習慣改善のアドバイスなども行いますので、症状が軽い方もお気軽にご相談下さい。

自宅でできる痔の予防

痔にならないためには、どのような事に普段気を付けたら良いか?お悩みの方も多いと思います。ここでは、今日から始められる痔の予防の取り組みを紹介させて頂きます。少しでもお役に立て頂ければ幸いです。

おしりに良い痔の予防グッズ

円座・ドーナツクッションの利用

肛門に負担をかけないように工夫されたクッション・座布団です。お尻の負担が軽くなります。

入浴剤・お風呂

痔に効果があるといわれる温泉は、全国にも多いものです!お風呂にゆっくり入って血行を良くすることは、便通に良い生活習慣です。また、清潔さを保つことでお尻の健康につながります。

痔を予防する食事と習慣

規則正しい排便習慣を、まずは身に付けること

  • 便意があったら、我慢せずトイレへ行く!
  • 無理に出し切ろうとせず、排便時間は5分以内!

十分な水分補給を!

水分不足は、便秘の原因の1つ。水分を取ることを心がけましょう。それから、起床時に、コップ1杯の水を飲むことも有効でしょう。腸の働きが活性化され、便秘解消につながります。

朝食を食べましょう!

便秘解消に向け、第一歩は、まず朝食を食べること。気合を入れなくても、「朝ごはんを食べる」というだけでも、効果があります。

お手軽な朝ごはん

  • ライ麦パンや全粒粉パンなど:パンの種類を変えるだけで、食物繊維の摂取量はアップします。
  • 玄米フレーク:冷たい牛乳は、腸を刺激し働きの活性化にもなります。

十分な食物繊維の摂取を!

排便の改善には、1日20~25g程の食物繊維の摂取が理想。しかし、現代日本人の平均摂取量は、10~15g程と言われています。食物繊維を多く含む食材を、食べるように心がけましょう。食物繊維は2種類に分けられますが、両方をバランスよく摂取しましょう。

食物繊維を多く含む食材

豆、穀類、野菜、きのこ、海藻等に多く含まれます。

  • 水に溶けない不溶性食物繊維: いも、セロリ、ごぼう、大豆など、野菜・すじっぽい物
  • 水に溶ける水溶性繊維: 昆布、わかめ、こんにゃく、果物、里いもなど、ぬるぬるねばねばした物

痔にならない為の生活習慣

痔は、普段の生活で気をつけていれば、ある程度、未然に防ぐことができる病気です。また、一度完治をしても再発する可能性は、ゼロではありません。完治後に以前と同じ生活習慣を続けると、悪化したり、再発したりするということに繋がります。生活習慣を改善し、痔の予防をしましょう。